月30時間の業務削減と属人化の解消を実現した有隣堂の資金管理DX

株式会社有隣堂サムネ

株式会社有隣堂

3,001名〜 小売業・卸売業 振込・照会業務の負担軽減 DX推進 照会業務 振込業務 ワークフロー構築

1909年創業、100年以上にわたり地域社会とともに歩んできた株式会社有隣堂。書籍・文具を中心としたBtoC事業に加え、官公庁・企業・教育機関向けのBtoB事業も展開し、現在は神奈川・東京・千葉を中心に44店舗(2025年12月現在)を運営している。近年はカフェや雑貨を併設した複合型店舗の展開や、YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」による情報発信など、書店の枠を超えた取り組みにも注力している。
こうした多角的な事業を支えているのが、本社経理部門による資金管理業務だ。複数の金融機関にまたがる多数の口座を扱い、日々の入出金管理や売掛金管理、返金処理、月次・年次の確認業務など、業務範囲は非常に広い。一方で、共用PCを前提とした従来の運用では、業務が特定の担当者に集中しやすく、作業負荷や心理的な負担が課題となっていた。
こうした状況を受けて有隣堂が導入したのが、NTTデータのクラウド型資金管理サービス「BizHawkEye」だ。導入後は、業務時間の削減に加え、属人化の解消や繁忙期への対応力向上など、資金管理業務の進め方に変化が生まれている。本記事では、導入を主導したご担当者に、その背景と現場での変化について詳しく伺った。

抱えていた課題

  • 5銀行・44口座を共用PCで管理しており、順番待ちや属人化が発生していた
  • 電子証明書更新や操作に関する担当が曖昧だった。
  • Windows10サポート終了を機に、運用の見直しが急務となっていた
  • 日次・月次業務が特定の担当者に集中し、時間的・心理的負担が大きかった

選ばれた理由

  • マルチバンク対応による口座の一元管理が可能だった
  • クラウド型で各自のPCから利用できる点
  • 月額課金およびトライアル利用による導入のしやすさ

導入後の効果

  • 入出金取得から後続処理までの作業時間を月約30時間削減
  • 共用PCの廃止により、順番待ちが解消
  • 返金業務の工程削減により、繁忙期対応の負担が軽減
  • 権限設定を活用し、他部門での利用が始動

「本を売る会社」から「知と文化の拠点」へ

―まず、御社の事業概要について教えてください。

磯野氏:有隣堂は1909年創業で、昨年12月に117年目を迎えました。事業は大きくBtoCとBtoBの二本柱です。
BtoCでは、書籍・文具を中心に、神奈川・東京・千葉を軸として44店舗を運営しています。近年では大阪や神戸にも出店し、店舗の在り方も変化しています。

書店という業態にとどまらず、カフェや雑貨を組み合わせた複合型店舗を展開することで、「本を買う場所」から「時間を過ごす場所」へと進化させています。また、YouTubeチャンネル「有隣堂しか知らない世界」を通じた情報発信にも力を入れており、オンラインとリアルを組み合わせた新しい顧客接点づくりにも取り組んでいます。

一方、BtoB事業では、企業や官公庁、図書館、教育機関向けにオフィス関連商品やサービスを提供しています。売上構成はBtoCが約4割、BtoBが約6割を占めています。このように事業の幅が広がるにつれ、資金の流れも複雑になり、経理部門の役割は年々重要性を増しています。

株式会社有隣堂画像

「共用PC」「順番待ち」「属人化」が当たり前だった資金管理業務

―BizHawkEye導入前、資金管理業務にはどのような課題がありましたか。

川崎氏:弊社は、銀行提供のVALUX対応ソフトを使って5銀行・44口座を管理していました。ただ、利用できるPCは部内で2台のみで、共用PCとして使っていました。

共用PCでの運用では、誰かが使っている間は作業ができず、支払い業務や残高確認のタイミングが後ろ倒しになることもありました。特に月末や締切前は、「早く終わらせたいのに待たなければならない」という状況が発生していました。

また、電子証明書の更新や管理についても、誰が責任を持つのかが明確になっていませんでした。更新期限が近づいていることに気づかず、慌てて対応したこともあります。「自分の操作が原因で何かトラブルが起きたらどうしよう」と不安を感じながら作業している担当者もいました。

さらに、2台のPCで同時に支払い処理を行うとサイクル番号がずれてしまうという制約もありました。そのため、結果的に「この業務はこの人が行う」という暗黙のルールが生まれ、業務が特定の担当者に固定化していました。 Windows10のサポート終了が近づく中で、「このまま共用PCを更新し続けることが適切なのか」「そろそろ別の運用方法を検討すべきではないか」という問題意識が、DX推進部門を中心に共有されるようになりました。

Windows10サポート終了と、DX推進部門からの問題提起

―BizHawkEye導入を検討し始めたきっかけは何だったのでしょうか。

川崎氏:大きなきっかけは、Windows10のサポート終了でした。
共用PCを更新し続けるにはコストもかかりますし、そもそも「共用PCで業務を続けること自体が非効率ではないか」という声が、部内で強くなっていました。

DX推進部門からも、「これからはクラウド前提で考えるべき」「共用PCという考え方を見直そう」といった指摘がありました。
そこでメインバンクの横浜銀行に相談したところ、BizHawkEyeを紹介してもらいました。

最初に話を聞いたとき、「マルチバンク対応」「クラウド型」「各自のPCで利用可能」という点が、これまで抱えていた課題の解決に非常に合致していると感じました。

経営企画本部 経理部 部長 磯野真一郎氏(右)
経営企画本部 経理部 課長補佐 土田義明氏(中央)
経営企画本部 経理部 部長補佐 川崎和広氏(左)

「マルチバンク×クラウド×現場が回る運用」が現実的だった

―数ある選択肢の中で、BizHawkEyeを選ばれた理由を教えてください。

川崎氏:一番の前提条件は、マルチバンク対応でした。
弊社は5銀行・44口座を利用しており、日常的に複数銀行を横断した確認や振込が発生します。

各銀行のネットバンキングを個別に使う方法も検討しましたが、銀行ごとにID・パスワード・電子証明書が必要になることや、利用者が増えるほど管理が煩雑になる点、端末制限や操作ルールが銀行ごとに異なる点などから、現実的ではないと判断しました。

BizHawkEyeであれば、一度のログインで複数銀行の口座を扱えるため、これまで感じていた「銀行ごとに操作を切り替える煩わしさ」を解消できると感じました。

共用PCからの脱却は「DX」以前に「業務を回すために必要」だった

川崎氏:導入検討の背景には、Windows10サポート終了という外部要因がありましたが、
それ以上に大きかったのは、共用PCという前提が限界にきていたことです。

共用PCの運用では、
・誰かが使っていると作業できない
・急ぎの支払いがあっても待つ必要がある
・証明書更新などの責任が曖昧になる
といった問題が日常的に起きていました。

DX推進部門からも、「これからは共用PCではなく、各自のPCで業務が完結する形を前提にすべき」という方針が示されていました。BizHawkEyeはクラウド型で、端末を選ばず、各自のPCから利用できる点が、この方針に合致していました。

「まず試せる」ことが導入判断の後押しに

川崎氏:月額料金で始められ、トライアル期間があったことも大きかったです。
「導入して終わり」ではなく、実際に使ってみて、合わなければ見直せるという選択肢があることで、導入に対する心理的ハードルはかなり下がりました。

また、金融機関からの紹介だったこともあり、サービスの信頼性やセキュリティ面についても安心感がありました。

現場に寄り添う伴走型支援で、スムーズな立ち上がりを実現

―BizHawkEyeの導入は、どのように進められましたか。

川崎氏:まずは見積もりを取得し、部内で内容を整理した上で役員に説明しました。
費用感や導入の背景、Windows10サポート終了への対応という文脈も含めて共有したところ、大きな反対はなく、比較的スムーズに了承を得ることができました。

導入作業で一番大変だったのは、過去の金融機関との契約書類を探し出すことです。
どの書類が必要なのか分からず、最初は戸惑いました。ただ、NTTデータの導入サポート担当者が訪問し、「この書類が必要です」「ここにこの情報を入力します」と、一つひとつ一緒に確認しながら進めてくれたのが非常に助かりました。

導入月の8月には3日間の説明会を実施し、BizHawkEyeの画面構成や基本的な使い方を一通り教えてもらいました。
決算期と重なり、8月末から9月にかけては業務が立て込んでいたため、本格的な利用開始は10月下旬からとしましたが、残高照会については9月から先行して使い始めました。

「設定だけ渡されて、あとは自分たちで進める」という形ではなく、立ち上げの段階から伴走してもらえたことで、現場としても安心して導入を進めることができました。

朝の入出金取得が自動化。月30時間の業務削減と「時間に追われる感覚」からの解放

―BizHawkEye導入後、まず実感された効果を教えてください。

土田氏:一番最初に実感したのは、朝の入出金取得業務が自動化されたことです。
導入前は、毎朝9時に作業を開始して、入出金データを手動で取得し、加工して、別システムに取り込むところまでを1人で担当していました。

日によっては、すべて終わるのが11時〜11時半頃になることもありました。
「この作業が終わらないと次に進めない」という状況だったので、朝から常に時間を意識していました。

―導入後は、どのように変わりましたか。

土田氏:
現在は、BizHawkEyeのスケジュール機能を使って、9時に自動で入出金データが取得される設定にしています。
出社した時点で必要なデータが揃っているので、確認して後続処理に進むだけです。 遅くとも10時には一連の作業が完了します。

月単位で見ると、約30時間分の業務削減になっています。

それ以上に大きいのは、「何時までに終わらせないといけない」「自分が遅れると後工程に影響する」
という毎朝のプレッシャーがなくなったことです。

以前はこの作業を1人で担当していたので、休みを取ることにも心理的なハードルがありましたが、今は自動取得されるので、安心して引き継げるようになりました。

売掛金返金業務を仕組み化。繁忙期でも「人手に頼らず回る」体制へ

―売掛金の返金業務については、どのような変化がありましたか。

土田氏:返金業務は、月に3回発生しています。
特に年明けから春にかけては、学生向けの販売に伴って返金件数が多くなります。

導入前は、共用PCのVALUX対応ソフトを使って、返金データを手作業で入力していました。入力する人と確認する人がそれぞれ必要で、件数が多い時期は入力作業・確認作業どちらにも多くの時間がかかっていました。

現在は、弊社のワークフローとBizHawkEyeを組み合わせて、
返金データをCSV形式でダウンロードし、外部データとしてそのまま取り込める運用に変更しています。

各システムの機能を活用した結果、手作業の工程が減り、作業時間や人手の面で負担が軽くなったと感じています。

これから年明け以降、返金件数が増える時期を迎えますが、今回の運用を使って、この春をうまく乗り切りたいと考えています。

共用PCを廃止。順番待ちゼロで9名が同時に業務可能に

―作業環境の変化についてはいかがでしょうか。

川崎氏:共用PCを使わなくなったことで、順番待ちが完全になくなりました。
以前は、誰かが使っていると作業ができず、業務が止まることもありました。

現在は、各自が自分の席・自分のPCで作業できます。
売掛業務には9名が関わっていますが、全員が同時に業務を進められるようになりました。

―操作性についてはどう感じていますか。

磯野氏:振込作成から承認までをBizHawkEye上で完結できる点が、とても楽です。
以前のように、操作のたびに別のシステムにログインしたり、トップ画面に戻ってやり直したりする必要がありません。

画面の流れに沿って、「作成 → 確認 → 承認」と進められるので、初めて使う人でも迷うことなく進められると思います。

権限設定とサポートで、部門展開と安心感を両立

―他部門での活用も始まっていると伺いました。

川崎氏:はい。現在は、オフィス通販部門の2名がBizHawkEyeを利用しています。
お客様の入金確認用途で使っており、「オフィス通販関連の口座だけを表示する」といった権限設定を行っています。

オフィス通販業務では、入金の有無を確認してから商品を出荷する必要があるため、スピードと正確性が重要です。
今後は、経理に都度確認しなくても、各部門で入金状況を把握できる体制を目指しています。

―リスク管理やサポート面ではいかがでしょうか。

土田氏:
分からないことがあれば、テクニカルサポートにすぐ相談できるのは非常に心強いです。
電話で問い合わせると、分かりやすく、親切に対応してもらえます。

「何かあっても聞ける」「一人で抱え込まなくていい」という安心感があり、
リスク管理の心理的なハードルは確実に下がりました。

今後の展望とBizHawkEye導入を検討中の企業へのメッセージ

―今後の活用について、どのように考えていますか。

磯野氏:今後は、利用範囲や利用者をさらに広げていきたいと考えています。
経理のDXは会社としても求められているテーマなので、BizHawkEyeはその第一歩として非常に有効なツールだと思います。

―最後に、BizHawkEye導入を検討している企業の方へメッセージをお願いします。

磯野氏:資金管理や支払い業務は、正確さと締切までの対応が求められるため、担当者の負担が大きい業務です。
BizHawkEyeは、そうした業務を無理なく、段階的に改善できるツールだと感じています。

共用PCや属人化に課題を感じている企業であれば、「まず入れてみる」「使いながら広げていく」という進め方ができる点も魅力だと思います。

丁寧なサポートがあるので、DXに不安がある企業でも、安心して導入できるのではないでしょうか。