25 口座の一元管理と順番待ちゼロを実現──日本生活協同組合連合会が語る BizHawkEye導入のリアル
日本生活協同組合連合会
全国の生協とともに、組合員のくらしを支える日本生活協同組合連合会(以下、日本生協連)。同会は全国の会員生協に商品を供給し、コープ商品の開発からカタログ事業、ギフト事業まで多角的に事業を展開している。その中核を支える経理部門では、子会社 5 社を含む日本生協連グループ全体の資金を管理する「資金・財務管理グループ」が、日々の入出金照会や資金移動、承認業務を担っている。
しかし、かつては 1 台の専用パソコンに複数の銀行システムをインストールして共用し、「誰がいつ使うか」を調整しながら作業を進める環境だった。さらにソフト更新や Windows アップデート対応にも時間を取られ、業務負荷は大きかった。この環境を一新させたのが、NTT データのクラウド型資金管理サービス「BizHawkEye(ビズホークアイ)」である。導入により、25 口座の一元管理と自動化を実現し、経理部門の働き方は大きく変化した。
今回は、経理部 資金財務管理グループの高村氏、そして実際に操作面での利便性を体感した田島氏に、導入の背景と効果を伺った。
抱えていた課題
- 専用ソフトをインストールした 1 台の PC で全業務を処理しており、常に順番待ちが発生していた
- ISDN 回線を用いたソフトに加え、銀行ごとに異なる専用ソフトを併用していたため、操作や設定が煩雑だった
- Windows アップデートやソフト更新のたびにトラブルが発生し、業務が中断することがあった
- 紙による押印承認で、承認者不在時には業務が滞っていた
選ばれた理由
- クラウド型でどこからでもアクセス可能
- マルチバンク対応で、25 口座をまとめて管理できる
- VALUX 認証による高いセキュリティ
- 導入支援・サポート体制が丁寧で安心
導入後の効果
- 入出金照会を自動化し、年間約 60 時間の作業削減
- 共用 PC 依存を解消し、順番待ちゼロ・同時作業が可能に
- 承認業務をオンライン化し、紙文化から段階的に脱却
- 保守不要・Windows アップデート対応が不要になり、運用負荷を大幅に軽減
全国の生協を支える「協同の力」──日本生活協同組合連合会とは
―まず、御社の事業概要について教えてください。
高村氏:日本生協連は、全国にある地域生協の連合会として、各地の生協と協力しながら、組合員のくらしを支える商品やサービスを提供しています。「コープ商品」と呼ばれるプライベートブランドの開発・供給を中心に、食品や生活用品、日用品など、日常に密着した多彩な商品を展開しています。
商品づくりでは「安全・安心・品質・価格」のバランスを重視しています。長年愛されている定番商品も、時代や組合員の声を取り入れて少しずつ改良を続けています。たとえば味の調整やパッケージ変更など、見えない部分でも多くの改善を積み重ねてきました。
さらに、「くらしと生協」などのカタログ事業、ギフト事業、生活サービスなど、組合員のくらしを支える幅広い事業を展開しています。近年は、若い世代や共働き世帯、小さなお子さんを持つ家庭への利用促進にも注力しています。店舗や宅配でのオンライン注文の拡充を進め、どの世代にも身近で利用しやすい生協を目指しています。

「1 台の PC を順番待ち」──導入前の課題
―続いて、導入前の経理業務体制について教えてください。
高村氏:以前は、ISDN 回線を用いたソフトに加え、銀行提供の専用ソフト 2 種類を使い分けていました。特にISDN 回線を用いたソフトでは、ケーブルで接続する仕組みで、1 台のパソコンにしかインストールできず、その 1 台を複数人で共有し、順番に操作していました。
申請者がデータを入力し、承認者が同じ端末で処理する流れだったため、常に“順番待ち”が発生していました。特に月末や決算期は操作の順番を待つ時間も多く、業務効率が下がっていました。
また、専用ソフトがインストールされたパソコンは固定位置に設置していたため、物理的な制約も大きかったです。
―効率化が難しい環境だったのですね。
高村氏:はい。しかも、銀行ごとにシステムが異なり、操作方法も違うので、間違えないように確認をしながら進めていました。
さらに、Windows のアップデート等に伴い PC 交換をする際には、複雑な移行設定を正しくできていないと振込や資金移動が一切できなくなるため、そのたびに銀行担当者を呼んで再設定を行っていました。年に数回の保守訪問がありましたが、都度作業が止まり、全体の流れが滞ることもありました。
「クラウドでどこからでも」──導入のきっかけ
―BizHawkEye を知ったきっかけを教えてください。
高村氏:そんな折、お付き合いのある銀行の担当者から「複数銀行をまとめて管理できるクラウド型のサービスがある」と紹介を受けたのが始まりでした。BizHawkEye の話を聞いた瞬間、“これなら変えられるかもしれない”と感じました。
他社製品も検討しましたが、多くは特定の銀行専用で、マルチバンク対応は BizHawkEye だけでした。しかも、クラウド型でありながら、セキュリティ対策が万全。NTT データのブランドと VALUX 認証の仕組みは非常に信頼できました。
―導入作業で苦労した点はありましたか?
高村氏:銀行契約の切り替えや電子証明書の登録など、初めての作業も多かったのですが、サポート担当の方が丁寧に対応してくれました。電話で確認しながら一つひとつ設定を進められたので、不安なく導入できました。

「順番待ちがゼロに」──BizHawkEye がもたらした業務変革
―導入後、最も変化を感じた点はどこですか?
高村氏:導入後、最も大きな変化は“固定された共用パソコンをめぐってのストレスがなくなった”ことです。BizHawkEye はクラウド型なので、複数の端末から同時にアクセスできます。申請者と承認者がそれぞれ自分の席で作業できるようになり、業務が滞ることがなくなりました。
以前は「今誰が使っているか」「次は誰の番か」を常に意識していましたが、その心配がなくなりました。月末などの繁忙期でも、全員が同時に作業を進められるため、スピードが格段に上がりました。
―作業環境も変わったのですね。
高村氏:はい。共用パソコンの置き場所をめぐって調整することもなくなり、オフィスがフリーアドレス化してもどこからでもアクセスできるようになりました。「この席でないと作業できない」という制約から完全に解放されました。
「9 時のプレッシャーから解放された」──入出金照会の自動化
―毎日のルーティン業務でも変化はありましたか?
高村氏:以前は毎朝 9 時に入出金および前日残高データを手動で取得し、10〜15 分ほどかけて作業していました。銀行のデータ更新タイミングに合わせる必要があり、担当者にとっては“9 時に間に合わせる”というプレッシャーがありました。
BizHawkEye のスケジュール機能を設定すれば、決まった時間に自動でデータを取得できます。担当者が出社していなくてもデータが揃っている状態です。これで 1 日 15 分、年間では 60 時間以上の時間削減につながりました。属人化も解消され、誰が操作しても同じように処理できる体制が整いました。
「25 口座の動きを一目で把握」──可視化と使いやすさ
―口座管理のしやすさについて教えてください。
高村氏:25 口座を一覧で確認できるようになったことで、資金の全体像を即座に把握できるようになりました。以前は銀行ごとにシステムを切り替えていましたが、今はワンクリックで全体を確認できます。グループ組織との資金移動も同一画面で完結します。
―操作面はいかがですか?
田島氏:画面はとても見やすく、操作が直感的です。最初に使ったときも「どのメニューに何があるのか」がすぐ分かりました。ボタンやレイアウトがシンプルで、クリックしてみれば“あ、これだな”と分かるようになっています。一度操作すれば流れが分かるので、新人でもすぐに慣れると思います。

「紙文化が少しずつ変わってきた」──承認業務の効率化
―承認作業はどのように変化しましたか?
高村氏:以前は紙の伝票に押印して回していましたが、今は BizHawkEye 上で承認が完結します。メール通知で依頼が届き、その場で承認できるため、スピードが上がりました。紙は一部残っていますが、「承認者が不在で止まる」ということがなくなりました。クラウド化により承認の進捗が可視化され、誰がどこまで対応したかがリアルタイムで分かるようになりました。
「保守・更新の負担ゼロ」──Windows アップデート対応も不要
―システム運用面の変化についても教えてください。
高村氏:BizHawkEye はクラウド型のため、ソフトのインストールやアップデート作業が不要です。以前は Windows のアップデートのたびにソフトが動かなくなり、再設定が必要でしたが、今はブラウザ上で常に最新の状態で使えるため、トラブルがなくなりました。
―サポート体制についてはいかがですか?
サポートも迅速で、電話でいつでも相談できます。導入初期は不安もありましたが、レスポンスが早く、現場としても信頼できました。
「誰でも同じように使える仕組みへ」──属人化の解消と今後の展望
―経理部門として、今後どのような方向を目指しているのでしょうか。
高村氏:今後は、もっと業務の効率化や省力化を進めていきたいです。属人化している業務を減らして、AI の活用や人材交流にも力を入れていけたらと考えています。BizHawkEye を中心に、システムを活かした新しい働き方を模索していきたいと考えています。
「初期設定さえ乗り越えれば、使えば分かる」──導入を検討している企業へのメッセージ
―最後に、BizHawkEye 導入を検討している企業の方にメッセージをお願いします。
高村氏:最初の設定は多少手間がかかるかもしれませんが、それを乗り越えた先には、格段に効率的な環境があります。クラウド化でどこからでもアクセスでき、同時に複数人が作業できるようになります。経理業務の負担が大きく減り、働き方の自由度も広がります。
田島氏:私たちも最初は「操作が難しいのでは」と思いましたが、使ってみると本当に分かりやすく、すぐ慣れました。導入して良かったと心から思っています。BizHawkEye は、経理部門の“働き方改革”を実現してくれるツールだと思います。

経理部 資金・財務管理グループ グループマネジャー 高村 美奈氏(右)
経理部 資金・財務管理グループ 担当者 田島 ゆうき氏(左)